CARNEY’S
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カーニーズのパートナー

パートナーインタビュー Vol.5 土佐農場

土佐農場 代表

土佐 英樹

このたび、カーニーズに千葉の銘柄牛『かずさ和牛』をご提供いただいている土佐牧場の土佐さんにインタビューを行いました。土佐牧場は、25年以上にわたり運営され、約1,500頭の牛を肥育する規模の大きな牧場です。今回は、土佐牧場の特徴や『かずさ和牛』の魅力、そして牧場運営に込めた思いやこだわりについてお話を伺いました。ぜひご覧ください。


今回はこのような機会を作っていただきありがとうございます!まず土佐さんの自己紹介をお願いできますでしょうか?

土佐牧場の土佐と申します。千葉県旭市という海に近い温暖な地域で、1998年から牧場を経営しています。

当牧場では、銘柄牛として和牛の「かずさ和牛」、交雑牛(品種改良した牛)の「ナイスビーフ」を肥育しております。牛ができるだけストレスなく育つ環境を整え、皆様に美味しく召し上がっていただける牛肉をお届けできるよう、日々努力を重ねています。

次に、土佐牧場で取り組まれていることについてお聞かせください。

土佐牧場では、和牛と交雑牛(品種改良した牛)の両方を取り扱っており、飼育頭数はおよそ1,500頭にのぼります。毎月、食用として適した月齢に育った牛を出荷しています。

和牛は当牧場で母牛を育て、繁殖・肥育・出荷まで一貫して行っています。
一方、交雑牛は北海道の帯広・十勝地域にある繁殖牧場から導入しており、当牧場で飼育する牛の90%以上を占めています。生後約8か月の子牛を迎え入れ、ここで肥育し、出荷しています。

和牛も交雑牛も、私たちにとって大切な家族のような存在です。1頭1頭を丁寧に育てることを心がけ、愛情をもって接しています。

大切に育てられていることがひしひしと伝わってきます。土佐牧場では、肥育の際に特に心がけていることはありますか?

はい、やはり環境は牛の健康や成長に大きな影響を与えるため、特に注意を払っています。
例えば、糞尿の匂いを牛が多く吸い込むと、肉の色が黒ずんだり、発育に影響を及ぼしたりすることがあります。また、気管支の病気を発症する原因にもなり得ます。そのため、当牧場では1頭1頭が快適に過ごせるスペースを確保し、365日毎朝牛舎を消毒しています。あわせて換気を徹底し、常に清潔で匂いの少ない環境を維持することを大切にしています。

こうした環境づくりによって、牛への負荷やストレスが軽減され、健康的に育つだけでなく、牛肉としての品質も向上します。

また、体調管理やストレスチェックも重要です。
牛は言葉を話せないため、ご飯を食べる時間のずれや食事量の変化など、わずかなサインを見逃さないようにしています。牛の表情や仕草を注意深く観察し、異変がないか常に気を配っています。人間の乳幼児を育てるのと同じように、日々牛と向き合い、対話する気持ちで接しています。

実際に牧場を見学させていただき、牛を第一に考えた環境やこだわりに感動しました! 次にカーニーズに卸していただいている『かずさ和牛』の特徴を教えてください。

ありがとうございます。『かずさ和牛』の大きな特徴の一つは、他の牧場で肥育される牛に比べて月齢が長いことです。牛肉の品質を左右する要素の一つに「月齢」があり、一般的には26ヶ月前後で出荷されることが多いのですが、当牧場では30ヶ月以上、和牛なら36ヶ月の月齢で肥育しています。

この月齢は、松阪牛などのブランド和牛と同等の水準です。業界では「脂が絞れる」という表現を使いますが、長期肥育により脂が程よくなり、上質な味わいへと変化します。その結果、クセがなく、舌触りや風味が格別な牛肉に仕上がります。脂のしつこさがなく、すっきりとした中にもコクのある、非常に味わい深いお肉になりますね。

長期の月齢を実現するためにどのような取り組みをされているのでしょうか?

先ほどお話しした環境づくりやストレス・健康管理に加え、大きく2つのポイントがあります。

1つ目は「親づけ」です。これは、子牛が生まれてから親牛と一緒に過ごす期間を指します。一般的な牧場では、親づけは約1ヶ月程度ですが、当牧場では6ヶ月ほどかけて親牛と過ごさせます。牛にとって家族の存在は非常に大切なので、できるだけ長く一緒にいることでストレスを軽減し、愛情と精神的な安定を育んでいます。

2つ目は「モネシンフリー」の取り組みです。モネシンとは、牛の発育促進のために使用される添加剤ですが、当牧場ではこれに頼らない肥育を実践しています。牛に負担をかけず、自然な成長を促します。

この「月齢」にこだわるようになったきっかけは何だったのでしょうか?

実は昔、三重のすき焼き屋さんで食べた牛肉に感動したことがきっかけです。そのお店の牛肉は長期肥育されており、驚くほど美味しかったんです。「これだ!」と思い、当牧場でも長期肥育ができないか試行錯誤を重ねました。そして、環境やストレス管理などを徹底した結果、現在の『かずさ和牛』の肥育方法を確立することができました。

最初は不安もありましたが、試しに周囲の人に食べてもらったところ、牛肉の脂や匂いが苦手だった人でも「これなら食べられる」と言ってもらえたことが、大きな自信につながりました。

最後に牧場運営において課題などはございますか?

堆肥の処理は年々大きな課題になっています。大量の牛の排泄物をどのように処理するかが重要ですが、当牧場では「エアレーション管理」を導入し、堆肥化する設備を整えています。これにより、臭いを抑えた堆肥を作り、農業用肥料として再利用できるようにしています。
幸い、当牧場の周辺では野菜の栽培が盛んなため、堆肥として活用していただける環境があります。こうして循環型の取り組みができているのは、とてもありがたいですね。

その他にも課題はたくさんありますが、私には「一心一道」という信念があります。「一つの心で一つの道を歩む」、つまり自分で決めたことは、道ができるまで責任を持ってやり抜く、という考え方です。その精神で、一生懸命に目の前の仕事に取り組んできました。
ここまでの規模に成長できたのも、協力してくださるパートナーや、私たちの牛肉を選んでくださるお客様のおかげです。本当に感謝しています。

土佐さん、本日は貴重なお話をありがとうございました。

土佐農場の土佐さんとのインタビュー記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。また土佐牧場さんのようにパートナーのインタビュー記事をアップしてまいりますので、ぜひカーニーズのHPを引き続きチェックいただけたら嬉しいです。よろしくお願いいたします!

土佐牧場

土佐 英樹

土佐牧場の土佐と申します。千葉県旭市という海に近い温暖な地域で、1998年から牧場を経営しています。当牧場では、銘柄牛として和牛の「かずさ和牛」、交雑牛(品種改良した牛)の「ナイスビーフ」を肥育しております。牛ができるだけストレスなく育つ環境を整え、皆様に美味しく召し上がっていただける牛肉をお届けできるよう、日々努力を重ねています。