CARNEY’S
MAGAZINE

カーニーズのパートナー

パートナーインタビュー Vol.4 高秀牧場

高秀牧場

馬上 温香

今回はいすみ市の高秀牧場でチーズを製造する「 株式会社牛かうVaca 」の代表である馬上温香さんにインタビューさせていただきました。Carney'sにはチーズをご提供いただけることになっております。Carney'sへご協力いただける経緯や、生産の思い、こだわりを伺いました。


本日はインタビューの機会をいただき、誠にありがとうございます!まず御社のご紹介をお願いしてもよろしいでしょうか?

高秀牧場は1983年に創業しました。「BM小清水」という微生物を混ぜた独自の飼料を使用し、牛の糞から堆肥を作り、牛の飼料、米、食用菜の花、 野菜等の栽培を行う、「循環型酪農」というスタイルで行っています。

高秀牧場が出荷している八千代牛乳は、日本で数少ないHTST(殺菌温度75℃、殺菌時間15秒)法で殺菌しており、本来の旨味やコクを残した牛乳です。また牧場体験や近隣の農家の方々と協力したイベント等も行っています。牛の品評会にも積極的に参加し、数々の賞を受賞させていただきました。2011年にチーズ工房、2016年にミルク工房をオープンし、チーズやジェラートの製造も行っています。

ありがとうございます。続いて、馬上さんのご経歴をお聞かせいただけますか?

私は高秀牧場のチーズやジェラートの製造販売を行う「 株式会社牛かうVaca 」の代表を務めています。私が本牧場の長女で生まれていて、牛は大好きなのですが、実は牛アレルギーで現場になかなか出られない形になっておりまして、牧場で生産しているものでの加工品などを企画、製造していくような役割を担っています。なので、牧場の現場は弟が後継者として担ってくれています。

地元の高校を卒業してから、カナダに5年間留学し、大学でツーリズムマネジメントという観光に関する経営学を勉強していました。在学中に父から「チーズ工房を作った!」と連絡が来てその時はとても驚いたのですが、大学の課題で牧場を中心としたグリーンツーリズムのプランを提出したところ、高い評価をいただいたことがありました。その頃から将来うちの牧場を起点に色々とチャレンジしてみるのもありかもと思っていまして、帰国後の2013年に牧場の加工品の販売を手伝うところから始め、今に至ります。

そんな経緯があったのですね!実際に牧場に伺ってみて、とても牛が身近に感じられる場所だと思いました!このミルク工房や牧場のスタイルについて伺ってもよろしいですか?

当初は牧場で販売のみする形だったのですが、牛が好きすぎて、もっとお客様に牛をゆっくり見ながら牛乳を飲んだりしていただきたくて、2016年にイートインができるこのミルク工房を始めました!

美味しい乳製品を食べながら牛を眺めて、牛がいるから食べることができるんだと興味持ってもらえたらと思っています。私たちは日々乳製品を口にしていますが、牛たちの大事な命から頂いているものだと感じつつ、より牛のことを考えてもらうきっかけになればいいなと考えています。こういったスタイルにしているとお食事してくださった方がご興味を持っていただいて私たちの酪農体験に申し込んでいただけることもあり、少しでも多くの方に牛たちとの触れ合いを感じていただけることが、とても嬉しいです。

続いて御社の牧場では循環型酪農を取り入れられていると思いますが、どういったお取り組みなのかお聞かせいただけますか?

高秀牧場では自分たちで餌を作るという取り組みをすごく頑張ってるんです。牧場にはたくさん牛たちがいるので、排泄物もとても多く出るわけです。循環型酪農は、その牛の糞を堆肥にして、畑でトウモロコシや牧草を育て、それを牛に食べさせて牛たちが健康に育ち健康的なミルクを出してもらうという生産体系をとっています。

それを行うことで環境に優しいのはもちろんのこと、自分たちで餌を育てることでコストダウンを図りながら、消費者への還元もできますし、安定的な経営を実現しています。餌から生産して消費者さんへお伝えすることで、安心してご購入いただけると思います。

素晴らしいお取り組みですね!先ほどからお話の中で牛たちやミルクへの愛やリスペクトをとても感じています。どういったお考えが根底にあるのでしょうか?

弊社は「いただきますを次世代へ」という経営理念を掲げています。先ほどのイートインの話と通ずる部分があるのですが、牛乳や乳製品ってアレルギー等で避けない限り、結構知らず知らずのうちにほぼ毎日口に入ってると思うんですよ。ただその一方で消費者さんたちは、牛乳や牛たちについて知識を深めるきっかけがあまりないことも感じています。

毎日の生活の中で食べている物がやはり自然というか動物の命からいただいているもので、牛たちが精一杯生きていることが背景にあることを知ってほしいと思っています。牛乳からチーズやジェラートを作って、店舗で食べていただいたりと、多角的な経営をしているのはそこの思いがずっとあるからです。

消費者さんたちが商品に気づいてくれて、美味しいものを求めて牧場に人が来てくれる。人が来てくれたら、牛を見てもらえるようになる。牛がいるから美味しいものが食べられているんだというマインドセットを持ってほしいと常々考えています。

食育が注目されていますが、まさにおっしゃる通りですね!続いて今回ご提供の商品にも使われる高秀牧場さんの牛乳の特徴を教えていただけますか?

自給飼料で牛を育てることはお伝えした通りなのですが、もう一つの特徴として、牛の健康を守りながら衛生的な牛乳であることです。

まず私たちの考えとして健康な牛じゃないと良い牛乳って出さないと考えています。
そもそも牛乳を絞るというのは牛にとっては結構負担のかかる行為なんです。良い餌をしっかり食べてもらって出産をして、産後の肥立ちもよく栄養管理もしっかりしていくことが大事です。その上で適度に搾乳もしながら健康を保っていくという過程があり、そこでちゃんと健康的であることが一番大事だと考えています。

また上記の健康管理に加え、生産環境の整備もこだわっています。牛舎内の掃除もかなり細かくやっているので、衛生面では自信があります。加えて牛とのコミュニケーションはとても大事なポイントで、うちはしっかり牛に向き合ってるので牛がおとなしいんですよ。搾乳の機械をつける際に体を拭くのですが、ちょっと足どけて~、と言ってどけてもらったりしてます。(笑)

何か嫌なことがあれば、足あげたり頭振ったり、蹴ったりなど意思表示をする牛が通常は多いですが、そういったことはなく、しっかりと信頼関係が築けているのでしっかり拭かせてもらえます。それもあって、牛乳というのは最終的にはもちろん殺菌するものなのですが、殺菌前でも細菌数が少ないんです。

今度はぜひチーズ作りについてもお聞かせいただけますか?

牧場からスタートしているので、ホルスタインの新鮮な牛乳でしかも衛生的かつ、本来の風味のある乳質を活かしたチーズ作りをしています。うちの牛乳ならではのさっぱり感とミルク感があって、自然な旨味のあるチーズを目指しています。チーズを作り始めた当初は2種類くらいだったのですが、少しづつ増やしてきて今では15種類以上になりました。

今回Carney'sさんに扱っていただく中の一つに「草原の青空」というチーズがあります。うちでは一番人気のブルーチーズで、いわゆるブルーチーズ独特の青カビの風味は強くないのに、優しく芳醇な香りが香るチーズです。ミルクの旨味を感じられる優しくマイルドな味で美味しいんです!

2015 年にフランスでコンクールがあり、そこでスーパーゴールドという賞もいただきました。現在も海外のコンクールへの挑戦は続けていて、今年もチーズ商品でイタリアのコンクールのブロンズを頂くことができました。

賞も数々受賞されて素晴らしいです!それとジェラートも作られていて、かなりの種類を開発されたそうですね?

店頭には季節によって変えながら常時12種類お出ししているのですが、レシピ自体は100以上開発しました。
着色料や人工甘味料は使わないというのがこだわりなので、仕上がりがベージュっぽい色のものが多いのですが、実は自然界の物ってそんなに鮮やかではなかったりするんです。でもそれがナチュラルな形で良いと考えています。

ここ最近で開発したのはチーズのジェラートで、4種類ありまして、ブルーチーズ、カマンベール、フロマージュブラウン、ブラウンチーズです。世の中には酪農家が作るチーズや、酪農家が作るジェラートは存在するんですけれど、酪農家がチーズをジェラートにしちゃうというのをやりたくて、かなり試行錯誤しましたが是非食べて欲しい自慢の一品に仕上がっています!

続いてCarney'sとの出会いやご協業を決めたきっかけなどぜひお聞かせいただけますか?

だいぶ前にお声掛けいただいて、岬店でいすみの白い月というチーズを扱っていただいた時期がありました。その頃はまだチーズ工房を始めたばかりでなかなか数は出せませんでしたが、今回再びお声掛けいただきました。

お話しし始めた当初はこちらで生産できる量とCarney'sさんの取り扱う量のペースが合うのか心配もありました。うちのチーズは大量生産できる物ではないので、陳列できない時期も出てきてしまうこともあり、ご迷惑をお掛けすることになるのではないかと思っていました。ただ担当者の方とお話を重ねていく中でその点をしっかりとご理解をいただけた上、陳列できない時期がむしろ消費者の購買意欲を育ててくれるのではとポジティブに捉えてくれました。

そうしたご理解もあって、最終的にはそれでもこのチーズを置きたい、工夫して販売しながらお客様に喜んでいただけるようにしていきたい、と言っていただいたことが印象的で大変ありがたいと感じ、協業を決定しました。

我々のご提案を受け入れてくださり、大変感謝いたしております…!最後に今後の展望を教えていただけますか?

今の日本の酪農業界は、後継者不足や円安による飼料価格の高騰で危機的な状況だと思うのですが、その中で先頭を切って国産飼料や6次産業化を進めて、トップを走っていきたいです。日本の酪農の新しいモデルを作っていけたらと考えています。

お客様に酪農に興味を持って頂く為に、牧場に寝泊まりして作業を一緒にしたりするファームステイも考えています。そこで酪農や牛たちの生活、この地域の良さを知ってもらって移住する方が増えて地域の発展に繋がったり、未来の酪農家の育成に繋がっていくことを期待しています!


ご精読ありがとうございます。今回は高秀牧場の馬上温香さんにインタビューをさせていただきました。Carney'sはこのように素敵な企業様とパートナーとして運営させていただいております。高秀牧場のミルク工房ではチーズのご購入はもちろんのこと、ジェラート、ピザ、クリームシチューなども食べることができます。お店で頂くお食事はどれもとても美味しくおすすめです。千葉市中央区にもアンテナショップがあります。ぜひCarney'sと高秀牧場様へのご来店をお待ちしております!

高秀牧場

馬上 温香

高秀牧場のHPはこちら